耳を澄ます為の装置

2026.3 / サウンド・インスタレーション | 空間音響、物質、データ

NEW SCHOOL 成果展「希望の野帖」 at Art Center NEW

耳を澄ます為の装置

■ 作品要旨

あなたが見ている「私」は私ではない。「私」は、「あなたの中の私」なのだ。本作は、同じ事象を見つめながらも、個々人が異なる側面を切り取り物語化する「視線の非対称性」をテーマに制作した。「その人の中のそれ」があふれるこの世界で、これから先、あなたと私、そして世界は、どうやって歩むのだろうか。

奥に配置されたアルミパネルの「割り切れない」物理的な凸凹をデータ化し、音楽へと変換された「断片」として出力する。「モノ」としてのキャンバスと、「データ」としての音が重なり合うことで、鑑賞者は全体像の見えない複雑さに直面する。本作は、自身の主観的な物語と客観的な構造の間で「折り合い」をつけるための装置である。

■ 視線の非対称性

同じ事象を見つめていても、各人が異なる側面を切り取り「単純化」することで生じる物語の分裂と、そこから生まれる二項対立的な「すれ違い」の構造を分析する。誰も事の全体を見通せない以上、主観性の強い「音」を媒介に他者のまなざしを追体験させるプロセスを通じ、物語化された認知の非対称性を超えた新たな関係性の創出を目指す。

■ 音の生成ルール

  • ① 起伏の深さ = 和音の厚み
    アルミの凸凹が連続して偏ると、空間を漂う和音の層が最大10層まで増減し、響きが変化する。
  • ② しわの密度 = ビートの速さ
    しわの細かさのデータによって、心臓の鼓動のようなビートの速さが3段階に変化する。

■ 技術スタック (Technical Stack)

  • Software:Python(アルミの深度や密度をMIDI音源に変換)
  • Hardware:論考、アルミパネル、黒色キャンバス、木枠、振動スピーカー(エキサイター)
展示風景1 展示風景2